ChatGPTを業務で利用しようとしている方の中で、
- 「ChatGPTの利用規約で注意すべきポイントは?」
- 「ChatGPTは商用利用できる?」
- 「ChatGPTの利用規約で禁止されていることは?」
といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
この記事は、ChatGPTの利用規約について、入力データの取り扱いや商用利用の可否などの注意すべきポイント、利用上の禁止行為などについてわかりやすく解説します。
この記事を最後まで読んで、ChatGPTを業務で活用してみましょう。
目次
ChatGPTの利用規約の構成
まず、ChatGPTに固有の利用規約はなく、OpenAI社は同社が提供するすべてのプロダクト・サービスに関する11種類のTerms & Policies(「規約とポリシー」)を公表しており、それらの中でChatGPTに関する利用規約も定めています。
# | Terms&Policies | 概要 |
---|---|---|
1 | Terms of use | ChatGPTなどの個人向けプロダクトの利用規約 |
2 | Privacy policy | プライバシーポリシー |
3 | Service terms | 特定のサービスの利用を規定する追加規約 |
4 | Data processing addendum | データ処理に関する追加条項 |
5 | Plugins and Actions Terms | プラグインの利用規約 |
6 | Service credit terms | サービスクレジット規約 |
7 | Business terms | 企業及び開発者向けの利用規約 ( API、ChatGPT Enterprise、ChatGPT Team) |
8 | Usage policies | 利用ポリシー |
9 | Enterprise privacy at OpenAI | 企業及び開発者向けのデータポリシー ( API、ChatGPT Enterprise、ChatGPT Team) |
10 | Sharing & publication policy | ChatGPT等を利用したコンテンツの共有や公開に関するポリシー |
11 | Coordinated vulnerability disclosure policy | 脆弱性開示ポリシー |
これらの規約とポリシーでは、ChatGPTだけでなくOpenAIのAPI、DALL-E、ChatGPT Enterprise、ChatGPT Teamなどのプロダクトに関する利用規約も定められています。
中でも、一般ユーザーが利用する「無料版ChatGPT」及び「ChatGPT Plus」に関する利用規約は、主に以下2つの規約・ポリシーで定められています。
ChatGPTの利用規約で注意すべきポイント
ChatGPTを業務で利用する上で、抑えておくべき利用規約のポイントを3点解説します。
- ポイント1.入力データはAIモデルの学習に利用される
- ポイント2.商用利用が可能
- ポイント3.公開する著作物にはAIの利用を明記
以下でそれぞれ解説します。
ポイント1.入力データはAIモデルの学習に利用される
無料版ChatGPT及びChatGPT Plusで入出力したデータについて、OpenAIは”Terms of use”(利用規約)の中で、「OpenAIはユーザーが入力及び出力したデータ(これらを総称して「コンテンツ」という)を使用することがある」と明記しています。
該当部分を日本語訳すると以下の通りです。
当社によるコンテンツの使用。当社は、本サービスを提供、維持、開発、改善し、適用法を遵守し、当社の規約およびポリシーを実施し、本サービスの安全を維持するために、コンテンツを使用することがあります。
出典:OpenAI “Terms of use”
このため、ChatGPTに個人情報や業務上の顧客情報・機密情報を入力すると、AIモデルがそのデータを学習して、第三者のChatGPTの利用の際に当該情報を含めた回答をしてしまい、不特定多数にその情報が漏えいしてしまうというリスクがあるのです。
実際、2023年3月、韓国のサムスン電子で従業員によるChatGPTの利用により3件の機密情報の流出があったと報じられ、大きな話題になりました。
なお、同じ”Terms of use”(利用規約)で以下に記載の通り、オプトアウトの設定をすることで入出力したデータを学習させないことが可能です。
オプトアウト。当社のモデルを訓練するためにお客様のコンテンツを使用することを希望しない場合は、このヘルプセンターの記事の指示に従ってオプトアウトすることができます。場合によっては、お客様の特定のユースケースによりよく対応するための当社サービスの機能が制限される可能性があることにご注意ください。
出典:OpenAI “Terms of use”
ChatGPTにおけるオプトアウトの設定の手順は以下の記事でわかりやすく解説しているので参考にしてみてください。
上述の通り、無料版ChatGPT、ChatGPT Plusについては入出力したデータがOpenAIのAIモデルの学習に利用されますが、例外として、ChatGPTのAPI、法人向けプランのChatGPT Team 及びChatGPT Enterpriseで入出力したデータはAIモデルの学習に利用されないことが明記されているため、これらのサービスを活用すれば情報漏えい等のリスクを心配せずに、業務で利用することが可能です。
API及び企業向けプランのデータはAIに学習されない
以下3つのサービスで入出力したデータはAIモデルに学習されません。
・OpenAI API
・ChatGPT Team
・ChatGPT Enterprise
【あわせて読みたい】法人向けプラン「ChatGPT Team」とは?
【あわせて読みたい】大企業向けプラン「ChatGPT Enterprise」とは?
ポイント2.商用利用が可能
ChatGPTを利用して生成したコンテンツ等は商用利用することができるのでしょうか?
結論としては、ChatGPTは商用利用が可能です。
OpenAIの”Terms of use”(利用規約)の中で、「ChatGPTで生成したコンテンツの所有権はユーザー側にある」と明記されているため、商用利用が認められています。
日本語訳すると以下の通りです。
コンテンツ
お客様のコンテンツ。お客様は、本サービスにインプット(以下「インプット」といいます)を提供し、インプットに基づいて本サービスからアウトプット(以下「アウトプット」といいます)を受け取ることができます。インプットおよびアウトプットは、総称して “コンテンツ “です。お客様は、コンテンツが適用法または本規約に違反していないことを確認することを含め、コンテンツに責任を負います。お客様は、インプットを本サービスに提供するために必要なすべての権利、ライセンス、および許可を有していることを表明し、保証するものとします。コンテンツの所有権。お客様と OpenAI との間において、適用される法律で認められる範囲において、お客様は、(a) インプットに対する所有権を保持し、(b) アウトプットを所有します。当社は、アウトプットに関するすべての権利、権原、および利益(もしあれば)をお客様に譲渡します。
出典:OpenAI “”Terms of use””
ポイント3.公開する著作物にはAIの利用を明記
ChatGPTを利用して生成したコンテンツは、SNSで共有したりWebに公開することが認められています。
ただし、APIを一部利用して著作したコンテンツを公開するにあたっては、当該コンテンツについて「AIを利用したことやAIの役割を明記すること」が、”Sharing & publication policy”において定められています。
日本語訳すると以下の通りです。
OpenAI APIとの共著コンテンツ
OpenAI APIを一部利用して作成されたファーストパーティ著作コンテンツ(書籍、短編小説集など)の公開を希望するクリエイターは、以下の条件で公開を許可します:公開されたコンテンツは、あなたの名前または会社に帰属します。
コンテンツの策定におけるAIの役割が、読者が見落とさないように、また一般的な読者が十分に理解しやすいように、明確に開示されていること。
コンテンツのトピックが、OpenAIのコンテンツポリシーや利用規約に違反していないこと。例えば、アダルトコンテンツ、スパム、憎悪に満ちたコンテンツ、暴力を扇動するコンテンツ、その他社会的な害をもたらす可能性のある利用方法とは無関係であること。
他者を不快にさせる可能性のあるアウトプットの共有はご遠慮ください。
例えば、「まえがき」や「はじめに」(あるいはそれに類する場所)で、起草や編集などの相対的な役割について詳しく説明しなければなりません。APIで生成されたコンテンツがすべて人間によって生成されたものであるとか、すべてAIによって生成されたものであるといった表現をしてはならないし、公開されるコンテンツに対して最終的な責任を負うのは人間でなければならない。以下は、正確であることを条件に、あなたの創造的なプロセスを説明するために使用することができるいくつかのストック言語です:
著者は、OpenAIの大規模言語生成モデルであるGPT-3を使って、このテキストを部分的に生成した。ドラフト言語を生成した時点で、著者は自分自身の好みに合わせて言語をレビュー、編集、修正し、この出版物の内容に対する最終的な責任を負います。
出典:OpenAI “”Sharing & publication policy””
AIの利用や役割に関する記載のNG例として、「AIで生成されたコンテンツを人間によって生成された」と記載するがNGなのははもちろん、「すべてAIで生成された」といった表現もNGとされています。
あくまで、公開されるコンテンツの最終的な責任は人間になければならない、とされています。
ChatGPTの利用規約で禁止されていること
ChatGPT利用上のルールとして遵守すべきことや禁止行為が、”Usage policies”のユニバーサルポリシーで4つ定められています。
ユニバーサルポリシーで定められる遵守すべきことや禁止行為は次の4つです。
- 1.適用される法律の遵守
- 2.危害を加える目的で利用しないこと
- 3.ChatGPTの生成物を他者に危害を加える目的で利用すること
- 4.セーフガードの尊重
それぞれ以下で解説します。
1.適用される法律の遵守
適用される法律の順守が求められます。
例えば、以下のような行為が禁止されています。
- 他者のプライバシーの侵害
- 適用される規制に従わずに規制された活動に関与
- 児童の搾取や危害
- 違法な物質、商品、サービスの開発または配布を含む違法行為を促進または関与
2.危害を加える目的で利用しないこと
自己または他者に危害を加える目的でChatGPTを利用することが禁止されています。
例えば、以下のような目的でのChatGPTの利用は禁止されています。
- 自殺や自傷行為を助長
- 武器を開発または使用
- 他人を傷つける
- 財産を破壊
- サービスやシステムのセキュリティを侵害する不正行為に関与
3.ChatGPTの生成物を他者に危害を加える目的で利用すること
ChatGPTで生成したコンテンツ等を他者に危害を加える目的で再利用したり配布することは禁止されています。
例えば、以下の目的でChatGPTで生成したコンテンツ等を共有することが禁止されています。
- 詐取
- 詐欺
- スパム
- ミスリード
- いじめ
- 嫌がらせ
- 中傷
- 差別
- 児童の性的表現
- 暴力、憎悪、他者の苦しみを助長
4.セーフガードの尊重
OpenAIのセーフガードや安全対策を回避する行為は禁止されています。
まとめ
この記事は、ChatGPTの利用規約について、入力データの取り扱いや商用利用の可否などの注意すべきポイント、利用上の禁止行為などについて解説しました。
ChatGPTの利用規約についてまとめると、以下の通りです。
まとめ
・ChatGPTにはサービス固有の利用規約はなく、OpenAI全体の利用規約で定められている
・OpenAIの利用規約は、計11種類のTerms & Policiesで構成されている
・ChatGPTの利用規約で注意すべきポイントは、
1.入力データはAIに学習される
2.商用利用が可能
3.ChatGPTで生成したコンテンツを公開する際はAIを利用したことを明記
・ChatGPTの利用規約で遵守すべきことや禁止行為は、
1.適用される法律の遵守
2.危害を加える目的で利用しないこと
3.ChatGPTの生成物を他者に危害を加える目的で利用すること
4.セーフガードの尊重
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