【24年最新版】大学・学校のChatGPT活用事例10選を解説!

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【24年最新版】大学・学校のChatGPT活用事例10選を解説!

企業や自治体でChatGPTの活用が急速に普及しているなか、大学や学校(小中高)でもChatGPTの活用が徐々に広がりを見せています。

  • ChatGPTを活用している大学や学校はどこ?
  • ChatGPTをどのように利用しているの?
  • 大学や学校でChatGPTを利用する上での注意点は?

といった疑問をお持ちの大学・学校関係者の方も多いのではないでしょうか?

この記事は、大学・小中高などの教育現場におけるChatGPT活用について、大学・学校のChatGPT活用事例、教育現場におけるChatGPT活用のメリットや留意点について、わかりやすく解説します。

大学・学校関係者の方はぜひ参考にしてみてください。


文部科学省の生成AIガイドライン

まず最初に、文部科学省が大学や小中高教育における生成AIの活用に対してどのようなガイドラインを出しているのか見てみましょう。

文部科学省は、

  • 大学・高専における生成AIの教学面の取扱い
  • 初等中教育段階における生成AIの利用

のそれぞれについて、ガイドライン等を公表しています。

以下でガイドライン等の概要について解説します。


大学・高専における生成AIの教学面の取扱い

大学・高専における教学面での生成AIの活用については、「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて」が各大学・高専等に通知されています。

要約すると、「生成AIの教学面での取り扱いについては、各大学・高専において教育の目的・内容や留意すべき観点等を踏まえて判断し、その指針等を示すことが求められている」といった内容です。

大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについては、各大学・高専において、具
体的に行われている教育の実態等に応じて対応を検討することが重要であり、学生や教
職員に向けて適切に指針等を示すなどの対応を行うことが望ましい。その際、生成 AI に
関しては今後も急速な進歩が続き、教学面への影響が変化することも想定されるため、
継続的な状況把握に努め、技術の進展や指針等の運用状況などに応じ、対応を適宜見直
していくことが重要
である。

出典:文部科学省「大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについて」

また、大学・高専における生成AIの利用が有効と想定される場面として、

  • ブレインストーミング
  • 論点の洗い出し
  • 情報収集
  • 文章構成
  • 翻訳
  • プログラミング補助
  • 教員による教材開発
  • 大学事務の運営等

が挙げられています。

生成 AI を利活用することが有効と想定される場面としては、例えば、ブレインスト
ーミング
論点の洗い出し情報収集文章校正翻訳プログラミングの補助等の学
生による主体的な学びの補助・支援などが考えられる。
この他にも、生成 AI は、今後さらに発展し社会で当たり前に使われるようになるこ
とが想定されるという視座に立ち、生成 AI の原理への理解、生成 AI へのプロンプト
(質問・作業指示)に関する工夫やそれによる出力の検証、生成 AI の技術的限界の体
験等により、生成 AI を使いこなすという観点を教育活動に取り入れることも考えられ
る。
また、上記の学生による利活用以外にも、教員による教材開発や、効果的・効率的な
大学事務の運営等に利活用することも考えられる。

出典:文部科学省「大学・高専における生成 AI の教学面の取扱いについて」

さらに、活用において留意すべき観点として、

  • 生成 AI と学修活動との関係性、成績評価
  • 生成 AI の技術的限界(生成物の内容に虚偽が含まれている可能性)
  • 機密情報や個人情報の流出・漏洩等の可能性
  • 著作権に関する留意点

が挙げられています。


初等中教育段階における生成AIの利用

小中高における教育での生成AIの活用に関しては、「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」が公表されています。

要約すると、「生成AIの利用に関する現時点の考え方としては、生成AIの利点やリスクを総合的に判断して、限定的な利用から始めることが適切とし、一部のパイロット校での取組みを検証した上で、更なる検討をする」といった内容になっています。

現時点では活用が有効な場面を検証しつつ、限定的な利用から始めることが適切である。生成AIを取り巻く懸念やリスクに十分な対策を講じることができる一部の学校において、個人情報保護やセキュリティ、著作権等に十分に留意しつつ、パイロット的な取組を進め、成果・課題を十分に検証し、今後の更なる議論に資することが必要である。
② その一方、学校外で使われる可能性を踏まえ、全ての学校で、情報の真偽を確かめること(いわゆるファクトチェック)の習慣付けも含め、情報活用能力を育む教育活動を一層充実させ、AI時代に必要な資質・能力の向上を図る必要がある。
③ 教員研修や校務での適切な活用に向けた取組を推進し、教師のAIリテラシー向上や働き方改革に繋げる必要がある。

文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」

なお、本ガイドラインに基づく令和5年度の生成AIパイロット校として52校が内定しています。


不動産業界でのChatGPT活用事例10選

大学・学校の教職員による事務作業や教育現場で、実際にChatGPTを活用している事例をご紹介します。

  • 事例1.東北大学
  • 事例2.立命館大学
  • 事例3.武蔵野大学
  • 事例4.東洋大学
  • 事例5.近畿大学
  • 事例6.東北工業大学
  • 事例7.大阪電気通信大学
  • 事例8.昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校
  • 事例9.神山まるごと高専
  • 事例10.筑紫高校

では、それぞれ見てみましょう。


事例1.東北大学

東北大学は、23年5月に全国の大学に先駆けてChatGPTを導入したと発表しました。
事務職員を対象に、業務のDXを推進するためシステム運営業務、報告書作成、プレスリリース作成、ニュース原稿作成、キャッチコピー作成などの様々な事務分野でChatGPTを活用する方針です。

導入したサービスには、個人情報等の誤送信防止・保護機能が実装されているため、情報の取り扱いには安全性を確保しているほか、 ChatGPTへの入力情報が二次利用されない方式で使用し、機密情報や
個人情報は取り扱わないこととしています。

今後、教育・研究への応用展開も視野に利活用を促進する予定。

参考:全国の大学に先駆けてChatGPTを導入 ~AIを駆使しDXの最先端を切り拓く~


事例2.立命館大学

立命館大学は、2023年春学期から、生命科学部・薬学部の「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」の一環として、ChatGPTと機械翻訳を組み合わせた英語学習ツール「Transable」を試験的に導入しました。

この取り組みは、機械翻訳の結果にAIチャットボットによる英語指導を加えることで、実用的な英語教育の向上と学生の能動的な学習を促進することを目的としています。

利用者は日本語で発信したい内容を入力し、AIが適切な英語での表現とその理由を提案します。
このサービスは立命館大学の研究プログラムの一環として開発され、ChatGPTのAPIを活用しています。

これにより、学生たちは英語のアウトプット精度を高め、実社会で使える英語スキルを身に付けることが期待されています。

参考:大学の英語授業に機械翻訳とChatGPTを組み合わせたサービスを試験導入


事例3.武蔵野大学

武蔵野大学は、23年7月に国内の大学として初めて、学内ICT利用問合せ窓口としてChatGPTを搭載したICTヘルプデスクチャットボットを導入しました。

このチャットボットは、Microsoft社の「Azure OpenAI Service」を利用し、セキュリティとプライバシー保護に配慮しています。生成AIの搭載により、従来のチャットボットに比べて自然で高度な対話が可能になり、学生や教職員は迅速かつ正確な情報の入手や問題解決が行えるようになります。

将来的には、利用者の対話履歴や個人データを活用し、パーソナライズされた情報提供やアドバイスを行う“AI-Ready-University”の実現を目指しています。

参考:【武蔵野大学】国内大学で初!生成AI搭載のICTヘルプデスクチャットボットが誕生


事例4.東洋大学

東洋大学情報連携学部は、23年5月にOpenAIのGPT-4を活用した新しい教育システム「AI-MOP」を導入たと発表しました。
このシステムは、学生が自主学習し、AIを使ってプログラミングやシステム開発のスキルを学ぶことを目的としています。学生はChatGPTを使い、質問解決や理解を深めるために対話を行い、教員は進捗を追跡できます。
AI-MOPはSlack上でBotとして動作し、利用量の管理や安全対策が可能です。
現在はGPT-4のみを使用していますが、将来的には他の生成系AIも取り入れる予定です。

このシステムにより、学生は最新のAI技術を活用した学習が可能になり、他の大学や企業でも導入が検討されています。坂村健学部長は、このシステムが教育革新をリードすると述べています。

参考:東洋大学情報連携学部、全学生向けにGPT-4 を活用させる教育システム導入


事例5.近畿大学

近畿大学は、24年1月に同年3月末までの間、生成AI活用プラットフォームを試験導入すると発表しました。
試験導入する生成AI活用プラットフォームに、学内のデータを取り込むことで、文章生成や情報検索、情報処理などが可能で、これらを用いて経営企画や広報、教務など、さまざまな業務で効率化を図る計画です。

今回の試験導入をきっかけに、業務削減の効果および職員のAI・ITスキル向上への影響を検証し、AIの利用拡大をめざすとしています。

参考:近畿大学が生成AI活用プラットフォームを導入 職員向けにさまざまな分野で業務効率化を図る


事例6.東北工業大学

東北工業大学は、23年10月に事務のDXの施策として学内事務業向けにChatGPTサービスの実証実験を開始しました。

利用したChatGPTサービスは、組織内で安全に利用でき、大学独自のQ&Aや内部向けドキュメントに対してもチャット形式で回答することができるとのことです。

導入担当者は、「無償トライアルにより、職員全体での演習形式の勉強会を開催し、効果的な生成AIの使い方を学ぶことができました。」とのことです。

参考:東北工業大学、学内事務業務向けにChatGPTサービスの実証実験を開始


事例7.大阪電気通信大学

大阪電気通信大学(情報通信工学部情報工学科)は、23年5月に学内のチャットツールSlackにChatGPTボットを導入したと公表しました。

このボットはOpenAIが開発したGPT-4を基にしており、プログラミングや情報工学の質問に迅速かつ適切に答えることができます。
学生はChatGPTボットを利用して質問し、効率的な学習支援を受けることが可能です。

学生からは「質問への迅速な回答が学習をスムーズに進める」との評価があり、教育の質の向上と学生の成長につながることが期待されています。

今後、他の学部や学科にも広がり、AIを活用した教育支援がさらに普及することが予想されています。

参考:情報工学科がSlackにChatGPTボットを導入!プログラミングなどの質問に即答


事例8.昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校

昭和女子大学附属昭和中学校・昭和高等学校は、2024年1月に個人情報の安全性を考慮したプライベートChatGPTを導入しました。

これは、生成AIの個人情報流出リスクを排除するためのもので、生徒と教員にAI技術をより身近に感じさせる目的です。
2023年には中学生を対象にAI授業を実施し、教員研修も行われました。この導入により、学校は安全な環境で生成AIの利用を推進し、生徒が情報を整理・分析する能力を育むことを目指しています。

さらに、高校生にはデータサイエンスの特別授業も計画されており、プログラミング教育を含む様々な分野でプライベートChatGPTの活用が予定されています。

参考:昭和女子大附属昭和中高、プライベートChatGPTを導入


事例9.神山まるごと高専

私立高等専門学校「神山まるごと高専」は、最新テクノロジーを通じた学生の学習体験の向上を目的に、生成系AIであるChatGPTの有償ライセンス「ChatGPT Plus」(月額20ドル / 一人)を、全学生・教員に付与したことを23年5月に発表しました。

今後、ChatGPTを通して学習の効率化を図るほか、学生・教員がChatGPTなどの生成系AIを使いこなす体験をいち早くから積むことを目指すとしています。

また、同校においては、日常の学習活動をはじめ、学校における課題レポートなどにおいてもChatGPTの利用を認めるとのことです

参考:全学生・教員にChatGPTの有償ライセンスを付与


事例10.県立筑紫高校

福岡県立筑紫高校は、ChatGPTを校務や授業など教育現場に活用するため、教職員を対象とした研修会を23年11月に開きました。

教職員向け研修会では、学年通信の作成や進路指導のアドバイス、テスト問題の作成など、教育現場でChatGPTを活用できる事例が紹介されました。
筑紫高校では来月、生徒向けの研修会も実施する予定です。

福岡県教育委員会によると、現在、6つの県立高校がChatGPTの導入を県に申請しているといいます。

参考:生成AI「Chat GPT」を教育現場で活用 筑紫高校で教員向け研修会


大学・学校でChatGPTを活用するメリット

大学・学校の教職員による事務作業や教育現場において、ChatGPTを活用するメリットは、

  • 教職員のメリット
  • 学生のメリット

の2つの側面があります。


教職員のメリット

教職員のメリットとして、以下の2つが挙げられます。

1.教職員の業務効率化

教職員は、講義・授業の準備や資料作成、テスト問題の作成、その他事務作業などにおいて文章を作成する仕事が多くあるため、ChatGPTを活用することで、業務効率をアップすることが可能です。

2.教育の質の向上

ChatGPTを活用することで、従来多くの時間を費やしている事務作業を効率化して業務時間を削減することで、生徒に向き合う時間や授業準備などのより有意義なことに時間をかけることができ、教育の質を高めることができます。


学生のメリット

学生のメリットとして、以下の2つが挙げられます。

1.学習の効率化

ChatGPTは、自主学習における理解を深めたり、疑問を解消するのに役立ちます。

例えば、自習の中で教科書だけでは理解が不十分な場合に、ChatGPTとの対話を繰り返すことで理解を深めることができるでしょう。
また、疑問が生じた場合に、教科書には記載がなくてもChatGPTに質問することで、すぐに疑問を解消することができるでしょう。

このように、学生はChatGPTを活用することで、学習の質や効率を高めることができます。

2.情報活用能力の向上

高校で「情報Ⅰ」(プログラミング教育)が必修化されたように、現代の学生にとってテクノロジーを理解して活用する「情報活用能力」は必須の能力です。

学生のうちから、最先端のテクノロジーであるChatGPTを学び活用する機会を得ることは、情報活用能力の向上につながるでしょう。


大学・学校でのChatGPT活用における留意点

大学・学校でChatGPTを活用することには大きなメリットがありますが、留意点もあります。

  • 留意点1.個人情報や機密情報の漏えいリスク
  • 留意点2.ハルシネーションのリスク
  • 留意点3.生徒の思考力低下の懸念


以下では、留意すべきポイントについて解説します。


留意点1.個人情報や機密情報の漏えいリスク

無料版ChatGPTやChatGPT Plusでは、入出力するデータや会話履歴がOpenAIのAIモデルの学習に利用されるため、入力した個人情報や機密情報が漏えいするリスクが指摘されています。

実際、2023年3月に韓国のサムスン電子で従業員によるChatGPTの利用により3件の機密情報の流出があったと報じられました。

このため、ChatGPTの利用にあたっては、個人情報や機密情報の入力を禁止するガイドラインを策定するとともに、入出力したデータや会話履歴がAIモデルに学習されない対策(オプトアウトなど)を講じることが求められます。

ChatGPTのオプトアウトの方法については、以下の記事でわかりやすく解説しているので参考にしてみてください。


留意点2.ハルシネーションのリスク

ハルシネーション(幻覚)とは、AIが事実とは異なったり存在しないものを生成(回答)してしまう現象のことです。

ChatGPTは、非常に賢く有用なAIですが、必ず正しい情報や回答を生成するとは限りません。
従って、ChatGPTを活用する場合は、その情報や回答を鵜呑みにせずに、必ず人間が確認・精査(ファクトチェック)することが求められます。


留意点3.生徒の思考力低下の懸念

学生によるChatGPTの利用で最も懸念されているのが、宿題、課題、レポート、論文などの作成において、学生が自ら調べたり考えずに、ChatGPTに全てを任せてしまうことです。

本来は、これらの課題を作成することで、学生の考える力や文章作成力を育成していたものが、ChatGPT任せになってしまうことで、思考力を養う機会が失われる懸念があります。

従って、学生によるChatGPTの利用については、「課題等の作成において部分的な利用に留める」など利用方法に一定の制限を設ける必要があるでしょう。


【あわせて読みたい】日本企業のChatGPT導入・活用事例

日本企業におけるChatGPTの導入・活用事例は以下の記事をご参考にしてください。


まとめ

この記事は、大学・小中高などの教育現場におけるChatGPT活用について、実際の活用事例、教育現場におけるChatGPT活用のメリットや留意点について解説しました。

大学・学校におけるChatGPTの活用事例は、企業や自治体に比べるとまだまだ少ないですが、大学を中心に徐々に広がりを見せています。

ChatGPTは、教育だけでなく、教職員の事務作業効率化にも大いに役立ちます。
ChatGPTで出来ることや留意点を理解した上で、うまく活用してみましょう。

この記事が、大学・学校関係者の方のChatGPT活用の参考になれば幸いです。

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