ChatGPTを使っている方の中で、
- 「ChatGPT PlusのGPTsってなにができるの?」
- 「自分でオリジナルのGPTsを作ってみたい」
- 「GPTsで収益化できるの?」
という疑問や悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
この記事は、ChatGPT Plusの機能である「GPTs / GPT Builder」について、使い方、オリジナルのGPTsの作り方、なにができるのか、収益化、料金、留意点について、わかりやすく解説します。
この記事を最後まで読んで、「GPTs」を活用してみましょう。
目次
「GPTs」とは?
「GPTs」とは、カスタマイズしてオリジナルのChatGPT(「カスタムGPT」)を作成できる機能です。
読み方は、「ジーピーティーズ」で、「GPT Builder」とも呼ばれます。
厳密には、「GPTs」はカスタムGPTの総称、「GPT Builder」はカスタムGPTを作成するためのツール、というニュアンスですが、一般的にはまとめて「GPTs」と呼ばれることが多いので、以下は両者の違いを分けずに「GPTs」と呼びます。
「GPTs」の何がすごいか?というと、プログラミング知識がない非エンジニアでも、自然言語による会話形式で、GPT-4、画像認識、DALL-E3による画像生成、Pythonコードの生成・実行、データ分析、データの追加学習、Webブラウジングによる検索、外部サービスとの連携などの機能を組み合わせたオリジナルのChatGPTを作成できてしまうのです。
例えば、自社データを学習させて自社専用のカスタムGPTを作成したり、営業・マーケティング・情シスなど専門分野のカスタムGPTを作成したりすることができます。
2024年1月現在、「GPTs」は以下の有料プランでのみ利用が可能です。
- ChatGPT Plus(個人向け有料プラン)
- ChatGPT Team(法人向け有料プラン)
- ChatGPT Enterprise(大企業向け有料プラン)
「GPTs」の特徴
「GPTs」には、以下の6つの特徴が挙げられます。
- 特徴1.プログラミング知識がなくてもノーコードで作成できる
- 特徴2.簡単にデータを追加学習できる
- 特徴3.DALL-E3、Webブラウジングなどの機能を簡単に組み合わせられる
- 特徴4.外部サービスとのAPI連携ができる
- 特徴5.作成したカスタムGPTを公開・共有できる
- 特徴6.作成したカスタムGPTで収益化できる
以下で、それぞれ詳しく解説します。
特徴1.プログラミング知識がなくてもノーコードで作成できる
「GPTs」の最大の特徴は、プログラミング知識がない非エンジニアでも、自然言語による会話形式で簡単にオリジナルのカスタムメイドのChatGPTを作成できることです。
シンプルなカスタムGPTなら、ChatGPTと自然言語で対話しながら、
- 作成したいカスタムGPTのアイデアを伝える
- カスタムGPTのタイトルを決める
- カスタムGPTのロゴを決める
- 出力形式や会話のトーンなどを指定する
といった手順で、たった10分くらいで驚くほど簡単にオリジナルのGPTを作成できます。
カスタムGPTの詳しい作成手順は、下記の「GPTs」の作り方で解説します。
特徴2.簡単にデータを追加学習できる
「GPTs」は、ファイルをアップロードするだけで、
- ファイルのデータ・知識を学習
- 学習したデータをもとに回答や指示を実行する
- ハルシネーションのリスクを軽減
することができます。
この機能を活用することで、自社の規程・マニュアルなどを簡単に学習させて自社専用のChatGPTを構築ることが可能です。
例えば、以下ではGPTsに会社のテレワーク規程のPDFをアップロードした上で、テレワークに関する質問をしたところ、規程の内容をもとに正しい回答をしてくれました。
特徴3.DALL-E3、Webブラウジングなどの機能を簡単に組み合わせられる
「GPTs」は、テキストによるチャット機能だけでなく、
- ChatGPT(GPT-4)
- GPT-4 Vision:画像認識
- ファイルアップロード:データの追加学習
- Webブラウジング:検索
- DALL-E3:画像生成
- Code Interpreter:Pythonコードの生成・実行
といった多様な機能を簡単に組み合わせて、オリジナルのカスタムGPTを作成することができます。
特徴4.外部サービスとのAPI連携ができる
GPTsでは、外部サービスとAPI連携したカスタムGPTも簡単に作成できます。
これによって、
- 外部サービスと連携してワークフローを自動化
- 外部サービスのデータ・知識を活用して回答することで精度を向上
することが可能になり、より強力なカスタムGPTを作成することが可能になります。
これによって、例えばGoogle CalendarAPIと連携して、スケジュール管理を自動化するカスタムGPTなども作成することが可能です。
特徴5.作成したカスタムGPTを公開・共有できる
作成したカスタムGPTは、自分専用で利用する以外にも
- Only me(自分のみ)
- Anyone with a link(カスタムGPTのリンクを共有した人だけ)
- Everyone(GPT Storeで一般公開)
の3つから共有設定を選んで、社内メンバーのみで共有したり、GPT Storeに一般公開することもできます。
特徴6.作成したカスタムGPTで収益化できる
作成したカスタムGPTをカスタムGPTのマーケットプレイス「GPT Store」に公開することで、利用実績などに応じたアフィリエイト報酬を得て収益化することができる予定です。
収益化については、下記の「GPTsの収益化」で記載しています。
「GPTs」の使い方
「GPTs」には、
- 使い方1.第三者が作成したカスタムGPTを利用する
- 使い方2.自分でカスタムGPTを作成する
- 使い方3.自分で作成したカスタムGPTを利用する
の3通りの使い方があります。
「GPTs」を使うには、
「ChatGPT Plus」にログイン、画面左上の「Explore GPts」をクリックして
①第三者が作成したカスタムGPTを利用したい場合:
この画面(GPT Store)で表示されるツールをクリックすれば、そのまま利用可能です。
②自分でカスタムGPTを作成する:
画面右上の「+Create」をクリックして始めます。詳細は下記の「GPTsの作り方」をご覧ください。
③自分で作成したカスタムGPTを利用する:
画面右上の「My GPTs」をクリックすると、作成済みカスタムGPTの一覧が表示されます
で利用することができます。
「GPTs」の作り方
では、「GPTs」でどのようにオリジナルのカスタムGPTを作成するのでしょうか。
初心者でもすぐに実践できるように「GPTs」でのカスタムGPTの作り方の基本について、わかりやすく解説します。
カスタムGPTは、以下の9ステップで簡単に作成することができます。
- Step1. GPT Storeで「+Create」をクリック
- Step2. 作成したいカスタムGPTのアイデアを伝える
- Step3. タイトルを決める
- Step4. ロゴを決める
- Step5. トーンや出力形式・内容などを決める
- Step6. Preview画面で試してみる
- Step7. Configureタブで設定を確認・調整する
- Step8. 公開範囲を設定
- Step9. 「Builder Profile」 を設定(GPT Storeに公開する場合)
では、以下でそれぞれ画像付きで分かりやすく解説します。
Step1. GPT Storeで「+Create」をクリック
ChatGPT Plusにログイン、画面左上の「Explore GPTs」をクリックすると、GPT Storeが表示されます。
GPT Storeで、右上の「+Create」ボタンをクリックします。
Step2. 作成したいカスタムGPTのアイデアを伝える
「+Create」ボタンをクリックすると上の画面が表示されます。
英語で、「どのようなGPTを作成したいか?」という質問(日本語訳は以下を参照)があるので、下部のテキストボックスに作成したいGPTのアイデアを以下のような感じで日本語で回答します。
例:「東京でおすすめのサウナを紹介するGPTを作成したい」
「GPT Builder」からの英語のメッセージの日本語訳は以下です。
(日本語訳)こんにちは!新しいGPTを作るのを手伝います。”新商品のビジュアル制作を手伝ってくれるクリエイターを作る “とか、”私のコードのフォーマットを手伝ってくれるソフトウェアエンジニアを作る “とか。
あなたは何を作りたいですか?
なお、「GPT Builder」からのメッセージは基本的に全て英語ですが、「以降の会話はすべて日本語にしてください」と指示すると日本語で会話してくれるようになります。
Step3. タイトルを決める
「GPT Builder」が、作成するカスタムGPTのタイトル案を提案してくれます。
変更したい場合は、自分でタイトルを指定することも、別のタイトル案を提案してもらうこともできます。
Step4. ロゴを決める
次に、作成するカスタムGPTのロゴ(アイコン)を提案してくれます。
これも、自分で指定することや別のロゴ案を提案してもらうこともできます。
Step5. トーンや出力形式・内容などを決める
次に、
- 会話のトーン(カジュアルかフォーマルか)
- ユーザーへの最初の質問メッセージ
- ユーザーへの回答の形式・内容(例:おすすめの5つのサウナとそれぞれの特徴や住所を回答」
など会話の形式・内容を指定します。
特に指定しなくても、大丈夫です。
Step7. Preview画面で試してみる
以上で基本的な設定は完了ですので、画面右側のPreview画面でチャットを入力して試してみましょう。
Step7. 「Configure」タブで設定を確認・調整する
画面上部の「Configure」タブをクリックすると、これまで「GPT Builder」との会話で決めた内容を編集することができます。
何度でも編集は可能なので、Preview画面で試した結果をみながら調整を繰り返すと、より自分好みのカスタムGPTに近づいていきます。
Step8. 公開範囲を設定
これまでの作業で満足いくカスタムGPTが完成したら、右上の「Save」ボタンをクリックして共有設定を選びます。
共有範囲は、
- Only me(自分のみ)
- Anyone with a link(カスタムGPTのリンクを共有した人だけ)
- Everyone(GPT Storeで一般公開)
の3つから選択して、「Confirm」をクリックします。
Step10. 「Builder Profile」 を設定(GPT Storeに公開する場合)
自作のカスタムGPTをGPT Storeに公開する場合は、「Builder Profile」 を設定しましょう。
「Builder profile」の設定画面は、ChatGPT Plusで左下のアカウントをクリック→「Setting & Beta」を選択→「Builder profile」を選択、でいきます。
デフォルトでは、上の画像のように「Name」が有効になっています。
GPT Storeで公開する場合、このままだとここの「Name」で表示されている名前が公開されます。
これを自社のWebサイトのURLに変更したい場合は、ここで「Verify new domain」をクリックして設定手続きを行いましょう。
GPT Storeで自分の名前が表示されても問題なければ、ここの設定は不要です。
「GPTs」でなにができるのか
では、「GPTs」を使ってなにができるのでしょうか?
ここでは、「GPTs」を業務に活用するアイデアを5つ紹介します。
- 1.部署別の専門家GPTs
- 2.社内ヘルプデスク
- 3.カスタマーサポート補助
- 4.スケジュール調整
- 5.リサーチ&分析
では、それぞれ以下で見てみましょう。
1.部署別の専門家GPTs
部署ごとに専門的な知識、手順、機能を備えた 専門家のようなカスタムGPTを作成することができます。
例えば、
- 営業
- マーケティング
- IT/情シス
- 人事・採用
- 総務
など、自社のそれぞれの部署・職種に特化した専門性や機能を有するカスタムGPTを作成・活用することで、各部署の業務に最適化した専門家として業務の効率化を手助けしてくれるでしょう。
例えば、マーケティングではSEO記事の作成・分析に特化したカスタムGPTやメルマガ作成に特化したカスタムGPT、人事では求人票作成に特化したカスタムGPTなどが考えられるでしょう。
2.社内ヘルプデスク
自社の規程・マニュアルなどを学習させることで、社内ヘルプデスクとして活用することもできます。
例えば、
- 総務(規程全般、備品など)
- 経理(経費精算など)
- 情シス(IT、デバイスなど)
など、社内からの問い合わせが多い部署において、社内からの問い合わせの1次受付・対応としてカスタムGPTを活用することで、ヘルプデスクの問い合わせ対応工数を削減することができるでしょう。
3.カスタマーサポート補助
自社の商品・サービス情報、FAQ、問い合わせ対応マニュアルなどを学習させることで、カスタマーサポート補助として活用することもできます。
お客様からの有人チャットやコールセンターなどによる問い合わせ対応の際に、カスタマーサポート担当者がお問い合わせ内容をカスタムGPTに入力すると、カスタムGPTが適切な回答案をタイムリーに提案してくれます。
これによって、経験の浅いカスタマーサポート担当者でもお客様を待たせずに高品質なカスタマーサポートを提供することができるでしょう。
4.スケジュール調整
「GPTs」は上述の通り、外部サービスとのAPi連携も可能なため、Google CalendarとAPI連携することでスケジュールの設定や調整をGPTs上の会話で自動化することが可能です。
例えば、
- 「8月10日15時から1時間、〇×商事との面談をいれて」
- 「今日の予定を教えて」
- 「今日16時の予定を来週水曜日の16時に変更して」
のように、まるで秘書と会話するかのようにカスタムGPTでスケジュールの設定や調整を行うことができます。
他にも、「Zapier」(ザピアー)という5000以上の外部アプリケーションと連携してワークフローを自動化するツールとカスタムGPTを連携することで、Googleヵレンダー以外にも、Gmai、Slackなど複数のツールと連携してワークフローを自動化することもできます。
5.リサーチ&分析
Webブラウジングによる検索や外部データベースとの連携、Code Interpreterによるデータ分析・グラフ作成などの機能を組み合わせたカスタムGPTを構築することで、
- リサーチ(業界データ、経済統計など)
- データ分析
の業務を効率化することも可能です。
リサーチやデータ分析結果をもとに、所定のフォーマットのレポートを作成することも可能です。
【あわせて読みたい】「GPT Store」おすすめ人気ランキングTOP10を紹介
「GPT Store」に出品されているGPTsの中で、世界で最も人気でよく利用されているGPTsのおすすめ人気ランキングTOP10を以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
「GPTs」の収益化
作成したカスタムGPTをGPT Storeに公開すると、利用実績等に応じてOpenAIからカスタムGPT制作者に報酬が支払われる「収益化プログラム」が開始予定です。
2024年1月17日現在、GPT Storeは公開されましたが、収益化プログラムの詳細は明らかにされておらず、スタートもしていません。
OpenAIの発表によると、収益化プログラムは、
- 2024年1~3月に開始
- 当初は米国のカスタムGPT制作者のみを対象
の予定です。
「GPTs」の料金
「GPTs」は、以下の有料プランでのみ利用が可能です。
ChatGPTプラン | プラン概要 | 利用料金 |
---|---|---|
ChatGPT Plus | 個人向け有料プラン | 月額20ドル |
ChatGPT Team | 法人向け有料プラン | 月額25ドル(年払) 月額30ドル(月払) |
ChatGPT Enterprise | 大企業向け有料プラン | 要問合せ |
「GPTs」の作成や利用は上記料金のみで、利用回数に関わらず別途の料金は発生しませんので使いたい放題です。
参考記事:【24年最新版】「ChatGPT Plus」とは?無料版との違い・メリット・料金を解説!
参考記事:「ChatGPT Team」とは?法人向けプランの特徴・料金・使い方を徹底解説!
参考記事:「ChatGPT Enterprise」とは?特長やChatGPT Plusとの違いについて徹底解説!
「GPTs」の留意点
「GPTs」は非常に便利なツールですが、留意点もあります。
留意点:個人情報は機密情報は入力しない
「GPTs」に入力した情報は、OpenAIの利用規約に基づきAIモデルの学習に利用される可能性があります。
そのため、「GPTs」に個人情報や機密情報を入力すると、入力データが学習されて第三者に情報漏洩するリスクがあります。
また、作成したカスタムGPTを公開した場合、プロンプトインジェクションによってプロンプトが漏えいするリスクもあります。
したがって、カスタムGPTを利用する場合、個人情報や機密情報の入力はしないようにしましょう。
また、自身が作成したカスタムGPTを公開する場合、漏えいして困るような情報はカスタムGPTのプロンプトに入力しないようにしておいた方がよいでしょう。
【あわせて読みたい】「GPT Store」とは?使い方・料金・収益化について徹底解説!
GPTsを発見・検索・出品できる「GPT Store」については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
まとめ
この記事は、ChatGPT Plusの機能である「GPTs」について、使い方、オリジナルのGPTsの作り方、なにができるのか、収益化、料金、業務での活用方法、留意点について解説しました。
「GPTs」についてまとめると、以下の通りです。
まとめ
・プログラミング知識がなくてもノーコードで作成できる
・簡単にデータを追加学習できる
・DALL-E3、Webブラウジングなどの機能を簡単に組み合わせられる
・外部サービスとのAPI連携ができる
・作成したカスタムGPTを公開・共有できる
・作成したカスタムGPTで収益化できる
・ただし、収益化は2024年1~3月、米国で先行スタートの予定
この記事を参考に、「GPTs」でオリジナルのGPTを作成して業務効率化を実現しましょう。
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