【完全版】証券会社のChatGPT活用方法10選と活用事例7選を徹底解説!

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【完全版】証券会社のChatGPT活用方法10選と活用事例7選を徹底解説!

金融業界において、ChatGPT・生成AIの活用が進んでいます。

日本の3大メガバンクグループである三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループがそれぞれ業務効率化のために自社従業員向けにChatGPTをベースとした生成AIツールを導入したほか、明治安田生命、住友生命、損保ジャパンなどの大手生命保険・損害保険会社での導入も行われています。

証券会社もその例外ではありません。

本記事では、証券会社におけるChatGPTの導入・活用に興味のある方に向けて、
「証券業界においてどのような業務でChatGPTを活用したらいいのか」
「証券業界でのChatGPT活用の実例」
について詳しく解説します。

証券会社におけるChatGPT活用の参考になれば幸いです。


証券会社で効果的なChatGPT活用方法10選

専門性や個別性の高い業務が多い証券会社ですが、ChatGPTを上手に活用することで大幅に業務効率化や売上アップを実現することが可能です。

証券会社において大きな効果が期待できるChatGPT活用方法10選を以下で詳しく解説します。

  • 活用方法1.投資相談/資産運用相談
  • 活用方法2.お問い合わせ対応
  • 活用方法3.銘柄分析・選択支援ツール
  • 活用方法4.面談・来店予約
  • 活用方法5.営業アシスタントツール
  • 活用方法6.オウンドメディア記事作成
  • 活用方法7.提案資料作成
  • 活用方法8.顧客宛メール作成
  • 活用方法9.新人教育・研修
  • 活用方法10.リーガル/コンプライアンス

活用方法1.投資相談/資産運用相談

お客様からの資産形成や投資に関する相談に対して、24時間365日、AIが自動で回答することにより、顧客体験を向上することができます。

ChatGPTを活用することで、お客様の「漠然」とした疑問や悩みを会話形式で相談することが可能になり、まるで人に相談しているかようのような顧客体験を提供することが可能になります。

通常のChatGPTのままでは回答精度は期待できませんが、資産形成や投資などに関する知識・情報を独自に学習させることで、高い精度の応答を実現することが可能です。

実際にこの用途でChatGPTを使用している事例として、本記事の活用事例5.で紹介している楽天証券の「投資AIアシスタント(ベータ版)」が該当します。


活用方法2.お問い合わせ対応

証券口座開設やiDeCo/NISAなどの加入手続き、住所変更などの事務手続きなどに関するお問い合わせを、AIがチャット形式で24時間365日受付・回答することが可能になります。

これにより、顧客体験の向上とお問い合わせ対応業務の削減を実現できます。
また、AIをコールセンターの問合せ対応業務に活用することも可能です。


活用方法3.銘柄分析・選択支援ツール

お客様による株式や投資信託の銘柄分析や、投資先を選択する支援ツールとして利用することが可能です。

従来から、投資銘柄の分析や選択を支援するロボアドバイザーツールのようなものはありましたが、ChatGPTを活用することで従来以上に対話能力が高まるため、ユーザーは会話形式で銘柄の分析や選択に関する質問や指示を行うことが可能になります
特に、投資初心者にとっては、自分で調査・分析するよりも、初歩的なことから会話形式で質問することができるのは大きなメリットになるでしょう。

この用途に関連した事例としては、ITmedia newsの「「四季報AI」β版で分かった、AIだからできること、そして想定外のニーズ」の記事の中で、四季報AIの利用実態として、投資初心者による初歩的な質問が多く情報収集の入口になっている、という考察が述べられています。

現在、投資初心者層や資産形成層の獲得に注力している証券会社が多いですが、ChatGPTを活用した銘柄分析・閃絡支援ツールを提供することで、従来のタッチポイントやチャネルでは獲得できなかった投資初心者層・資産形成層の獲得に繋がることが期待されます


活用方法4.面談・来店予約

お客様からの資産運用相談や来店予約をAIチャット形式で24時間365日自動化することができます。

これにより、顧客は手軽に会話形式のチャットで面談・来店の予約を行うことができ、面談・来店予約率の向上が期待できます。


活用方法5.営業アシスタントツール

証券営業においては、株式・債券・投資信託・デリバティブ・オルタナティブなど各種マーケットや商品に関するデータや専門的な知識が求められますが、営業職員が自社に蓄積された膨大なデータやナレッジのデータベースの中から必要なデータやレポート、ドキュメントなど効率的に探索する手段として、ChatGPTを組み込んだAIチャットボットが活躍するでしょう。

実際にこの用途でChatGPTを使用している事例として、本記事の活用事例6.で紹介しているMorgan Stanleyが開発した富裕層部門のファイナンシャルアドバイザー向けアシスタントツールが該当します。


活用方法6.オウンドメディア記事作成

オウンドメディアを運営している場合、ChatGPTを活用することでブログ・記事の作成時間を大幅に削減することが可能です。

ChatGPTに作成したいブログ記事のテーマやキーワードを指示することで、SEOに強いブログ記事の構成案の提案や本文の文章作成、読まれやすいタイトル案の提案、人が作成したブログ記事の校正まで行えるのでブログ記事の作成を効率化することが可能です。


活用方法7.提案資料作成

証券営業においては、お客様ごとにオーダーメイドの提案を行うケースが多いため、個々に提案資料を作成するケースも多いでしょう。

提案書作成にChatGPTを活用することで、顧客ごとの提案ストーリーや提案内容の叩き台を作成してくれたり、壁打ち相手になってもらうことで、提案書作成を効率化したりクオリティを向上させることが可能です。

ChatGPTを使って提案資料を作成する方法やプロンプトについては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。


活用方法8.顧客宛メール作成

ChatGPTを活用することでビジネスメールの作成を効率化することも可能です。

プロンプトを工夫すれば、テンプレ通りのメールだけではなく、お客様の状況などに応じたメールを簡単に自動作成することも可能です。

ChatGPTを使ってお客様宛のメールを作成する方法やプロンプトについては以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。


活用方法9.新人教育・研修

ChatGPTを新人教育や研修に活用することも可能です。

証券業務には幅広く専門的な証券知識や法令知識が求められます。
これらの証券業務に関する専門知識・ナレッジを学習させたAIを導入・活用することで、新入社員や経験の浅い担当者が業務の中で生じる疑問や不明点をAIに質問して即座に解決することでが可能になるでしょう。


活用方法10.リーガル/コンプライアンス

金商法などの関連法令や諸規則・各種ガイドラインなどをChatGPTに学習させてカスタマイズすることで、証券業務を行う中で生じる法令・根拠条文を確認したい際に、ChatGPTに質問することで法的な問題の有無や根拠条文などおおよその参考的な確認を行うことが可能になります。

また、ISDA契約などの専門的な契約書フォーマットや各種データなどを学習させることで、ISDAのような専門的な契約書をAIがリーガルレビューして修正案を提示する、などに活用することも可能でしょう。

他にも、リテール営業の金融商品販売において、営業職員と顧客との折衝記録(音声データやドキュメント)をAIがレビューして、重要な内容を要約したり、問題のあるやり取りが行われていないか監視するなど、コンプライアンスモニタリングに活用することも可能です。


証券会社でChatGPTを活用するメリット

証券業界でChatGPTを活用することで、業務効率化による生産性向上(売上アップ)や顧客体験の向上が期待できます。

  • メリット1.業務効率化による生産性向上
  • メリット2.顧客体験の向上

メリット1.業務効率化による生産性向上

証券業界は、非常に専門性が高く個別性の高い業務が多いため、デジタル化が遅れアナログの作業が多く残っています。

これまで多くの時間をかけていたアナログの作業をChatGPTを活用してデジタル化することで、業務効率化によるコスト削減とともに、浮いた時間をより付加価値の高い活動に使うことで売上アップや生産性の向上につなげることが期待できます。


メリット2.顧客体験の向上

投資相談やお問い合わせ、銘柄分析・選択などにChatGPTを活用することで、24時間365日の対応が可能になり顧客体験の向上につながります。

また、資産形成や投資に関する疑問や悩みがあっても、証券会社の営業に相談すると押し売りされることが心配で、なかなか相談に踏み出せない人も多くいます。
ChatGPTを活用したAIなら、押し売りされる心配もせずに気軽に相談することが可能になります。

まずはAIに気軽に相談した後に、より詳しく個別に相談したくなったお客様向けには自社の営業職員への相談・面談設定の導線を設置することで、新規顧客との商談数をアップすることができるでしょう。


証券会社でのChatGPT活用における留意点

証券業界でのChatGPTを活用には留意すべきポイントもあります。

  • 留意点1.誤った情報を生成する可能性がある
  • 留意点2.データが古い(2022年1月まで)
  • 留意点3.顧客情報・個人情報や機密情報は入力しない

留意点1.誤った情報を生成する可能性がある

ChatGPTは非常に強力で便利なツールですが、「完璧」ではありません。
ときには誤った情報や回答を行うことがあります。

従って、ChatGPTを業務で活用する場合は、回答をそのまま鵜呑みにせずに、必ず人手による精査(ファクトチェック)を行うようにしましょう。


留意点2.データが古い(2022年1月まで)

ChatGPTは2022年1月までのインターネット上の情報を学習したAIモデルのため、2022年1月以降の最新情報は把握していません。
そのため、2022年1月以降の最新情報の調査などではChatGPTを活用せずに、自ら信頼のおける情報源等で確認するようにしましょう。

そもそも、ChatGPTは「文章・コードの生成やチェック」や「データの分析」などを得意としており、情報の「検索」には不向きです。
ChatGPTを活用するにあたっては、これらの特性を踏まえ適切に活用することが重要です。


留意点3.顧客情報・個人情報や機密情報は入力しない

ChatGPTに入力する情報は、ChatGPTを開発するOpenAI社のAIモデルの学習に活用される可能性があることがChatGPTの利用規約に明記されています。

つまり、ChatGPTに入力した顧客情報・個人情報や自社の機密情報などがAIモデルの学習の結果、第三者に漏えいしてしまうリスクがあるのです。

したがって、ChatGPTを利用する作成する際には、ChatGPT(プロンプト)に顧客情報(取引先名など)、個人情報(担当者の名前など)、機密情報(顧客との詳細な取引内容など)は絶対に入力しないようにしましょう。

証券会社でのChatGPT活用事例7選

証券業界でChatGPTを実際に活用する事例をご紹介します。
日本の証券会社におけるChatGPT活用状況の特長として、同じ金融業界の銀行や保険会社に比べるとやや遅れており、生成AIの活用に慎重な姿勢が見受けられます。

  • 事例1.大和証券
  • 事例2.マネックス証券
  • 事例3.岡三証券
  • 事例4.SBI証券
  • 事例5.楽天証券
  • 事例6.Morgan Stanley(米国)
  • 事例7.JPモルガン・チェース(米国)

事例1.大和証券

大和証券は、日本の証券会社の中でもいち早くChatGPTを導入した会社です。

ChatGPTベースの生成AIを全社員約9,000人を対象に導入し、全ての業務で情報が外部に漏れないセキュアな環境で利用可能になります。
ChatGPTの活用により、英語等での情報収集のサポートや、資料作成の外部委託にかかる時間の短縮や費用の軽減、各種書類や企画書等の文章、プログラミングの素案作成などが可能となり、本来業務に充てる時間の創出が期待されています。

参考:大和証券、対話型AIの「ChatGPT」を導入し全社員約9,000人を対象に利用を開始


事例2.マネックス証券

マネックス証券は、ChatGPTをビジネスにおいて安全に活用するためのツール「Crew」の社内利用を開始しました。Crewは、チームのチャット上での会話や社内文書を学習し、繰り返し発生する作業や新入社員のトレーニングを代替できます。また、組織内のノウハウを元にチャット上で質問に回答します。Crewは、個人情報などのセンシティブ情報を検知し非表示にする機能や、企業ごとに独自の秘密情報を追加できるフィルタリング機能を備えています。

参考:マネックス証券、ChatGPTを安全に使う「Crew」の社内利用を開始


事例3.岡三証券

岡三証券は、ChatGPTを用いた証券事務業務の効率化と顧客接点業務の高度化を目指して、株式会社FIXERと協業を行うことを決定しました。
FIXER社が提供するAIプラットフォーム「GaiXer」を活用するトライアルを、本年5月より開始します。
この協業を通じて、営業日報や各種レポートの作成の省力化、デジタルマーケティングの高度化、そしてコンタクトセンターの応答自動化などを段階的に実用化を目指して進めるということです。

岡三証券は、中期経営計画の一環として、生成AIの活用によるビジネスのデジタル化を推進しており、この協業によってその実証を加速したい考えです。

参考:生成AI(ChatGPT(チャットGPT)等)活用に向けたFIXERとの協業に関するお知らせ


事例4.SBI証券

SBIホールディングスは、生成AIの活用を推進する目的で「SBI生成AI室」という新しい専門の社内組織を7月1日に設立すると発表しました。

生成AIは、ビッグデータの学習を基にデータやコンテンツを生成するAIで、ChatGPTなどがその代表例です。SBIグループはこれまでAIの活用に努めており、新しいSBI生成AI室は、グループ内の生成AI利用をさらに加速し、グループのAI戦略を議論する会議体も開始します。初期の利用対象者は約1,000名で、全社員の利用を早期に目指しています。

部門のリーダーシップには、ビッグデータとAIの専門家が就任。SBIグループはこの新組織を通じて、業務効率化や革新的なサービスの提供を強化し、金融業界全体での生成AIの活用を先導することを目指しています。

参考:生成AI専門社内組織「SBI生成AI室」の設立に関するお知らせ


事例5.楽天証券

楽天証券は、楽天グループと共同で開発した新しいAIチャットサービス『投資AIアシスタント(ベータ版)』の提供を始めました。

このサービスは、楽天の独自AIモデルとChatGPTを組み合わせたもので、基本的な投資知識や適切な投資方法、おすすめの記事を提供します。現在はベータ版として、先着順での提供となり、利用上限が設けられています。

楽天証券はコロナ禍以降、口座開設者数の急増や投資初心者の割合の増加を経験。長期的な資産形成を支援するため、生成AIの活用を拡大して、お客様の投資に関する不安を軽減し、サービス改善を続ける方針を掲げています。

参考:ChatGPT搭載のAIチャット『投資AIアシスタント(ベータ版)』サービス開始のお知らせ


事例6.Morgan Stanley(米国)

モルガン・スタンレーは、1,000人のファイナンシャルアドバイザーで数ヶ月間テストした後、OpenAIと共同で開発した生成AIボットを導入しました。
このAIボットは、同社の富裕層部門のアドバイザーを支援するツールで、顧客との対話中に必要なリサーチやフォームを素早く見つけることができます。さらに、顧客の許可があれば、会話の要約、フォローアップメールの作成、売上データベースの更新、次回の予約設定、さらには税金や退職貯金、相続などの領域で顧客の財務を管理する方法を学習する機能も将来的に追加される予定です。

顧客への投資アドバイスに関しては、引き続きアドバイザーが行います。
モルガン・スタンレーのCIOによれば、AIの導入はインターネットの登場に匹敵するほどの影響があると言及しています。

参考記事:Morgan Stanley to launch AI chatbot to woo wealthy


事例7.JPモルガン・チェース(米国)

JPモルガン・チェースは、顧客の投資先選びを支援するChatGPTのようなソフトウエアサービスを開発していると、CNBCが報じました。

JPモルガン・チェースは「IndexGPT」と呼ばれる製品の商標登録を申請したということです。
申請内容によれば、IndexGPTは、「AIを使ったクラウドコンピューティング・ソフトウエア」を利用し、「顧客のニーズに合わせた証券の分析と選択」を行うということです。

参考:JPモルガン、ChatGptのようなAIサービスを開発中ー報道

【あわせて読みたい】日本企業の導入・活用事例

ChatGPTは多くの業界で活用されています。
日本企業におけるChatGPTの導入・活用事例は以下の記事をご参考にしてください。


最後に

本記事は、証券会社におけるChatGPTの活用方法や実際の活用事例について詳しく解説しました。

専門性や個別性が高くDXが進みづらい証券業界ですが、ChatGPTを上手に活用することでデジタル化による業務効率化と顧客体験の向上につながることが確認できたかと思います。

ChatGPTを活用したDX推進で、業務効率化と顧客体験の向上を実現しましょう。

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